演奏家、タジマハール旅行団のメンバーたちが、北欧からヨーロッパ各地を演奏旅行したのち、目的地インドのタジマハールに向った。その途中、イランのマランダの街から少し離れた砂漠の中で一匹の亀をみつけ持ち還ってきた。メンバーのひとりである小池龍が、その亀を私にくれたのである。
ここ数年来、私が風土記にひかれて、海亀をよく描いていることを知っていた連中が、遠い砂漠の地から亀を運んできてくれた。この亀をよく眺めると、頭部が鳥類ではないかと思えてくる。とくに口元がそうである。『古事記』にも、たしか空飛ぶ亀のことが記されてあったと思う。原生動物の型をのこしている数少い動物である亀は、おそらく空を飛び、海中を飛んでいたのではないかと思われてくる。そんな空想をしてみる。
海鳥が魚を捕る場合、海中でも飛ぶように泳ぐ。海も空も海鳥は飛んでいる。このイランの陸亀は、水に弱いと動物の書にある。ほんのわずかな水溜りでも、水死するそうである。
永い年月、砂漠という乾いた土地に生きてきたのか、機能分化したためだろう。雨が降るとたちまち身をかくすから、水を恐れているようだ。 |